対応症状

膝が痛い!成長期にみられる有痛性分裂膝蓋骨とは?

成長期スポーツ障害
2021.09.20

めぐり整体代表の菅井謙介です。いつまでも元気で、好きなことを続けてもらう身体づくりを提供することで、地元である下野市小金井への恩返しができたら幸せに思います。

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いつもブログをお読みいただきありがとうございます!栃木県下野市「めぐり整体」代表の菅井です。

今回は、成長期にみられる有痛性分裂膝蓋骨について書いていきます。知らない方も多いと思いますので、これを機にポイントだけでも押さえてみてください。特に、お子様がスポーツをされている方や指導者の方には大切になります。この記事を読むことで、有痛性分裂膝蓋骨についての理解と対処法が分かると思います。

有痛性分裂膝蓋骨とは何か?

有痛性分裂膝蓋骨は、成長期におけるスポーツ障害の一つとして知られています。発生頻度は低い一方で、痛みのためにスポーツ活動の休止を強いられる場合もあります。

分裂膝蓋骨は疼痛のない無症候性が多く、分裂があることと疼痛が生じることとの関連は薄いとされています。分裂部に疼痛を認めることではじめて、有痛性分裂膝蓋骨の診断がなされ、治療の対象となりますが、保存療法にて軽快することが多いです。繰り返される膝伸展筋力による骨化異常とされ、先天性説、外傷説、骨軟骨炎説、疲労骨折説など原因が報告されていますが、まだ明らかではありません。近年では、有痛性分裂膝蓋骨症例にオスグッドシュラッター病などの合併を多く認めることからも、有痛性分裂膝蓋骨の成因は大腿四頭筋の牽引ストレスとする説が有力です。

分類

有痛性分裂膝蓋骨にはいくつか分類があります。膝蓋骨の下方部分に分裂骨片があるもの(Ⅰ型)、膝蓋骨の外側に分裂骨片があるもの(Ⅱ型)、膝蓋骨の上外側に分裂骨片があるもの(Ⅲ型)に分けられます。このなかでⅢ型が75%を占めており、有痛性へと移行しやすいとされています。

どんなストレスがかかっているのか?

Ⅱ型とⅢ型は膝蓋骨の外側から上外側に分裂部を認めるものです。その中でもⅢ型は有痛性へと移行しやすく、骨癒合が得られにくいことが報告されています。解剖学的には、膝蓋骨上外側端は、外側広筋の付着部となっているため、外側広筋の牽引ストレスが分裂部を離開させることで疼痛をきたしていると考えられています。また、膝を曲げた時に生じる外側組織の牽引ストレスも疼痛を誘発すると考えられています。運動療法では、外側広筋や外側支持組織の柔軟性獲得が最も重要な運動療法といわれています。

膝が内側に入るアライメントも、分裂部への牽引ストレスを増強させる要因となるため膝関節アライメントの修正も重要なポイントとなります。

外側広筋と同じように重要な中間広筋

外側広筋は、膝関節の後面から外側に付着していますが、中間広筋も大腿遠位では外側に位置しています。膝蓋骨に付着もしながら膝蓋骨周辺の靭帯にも付着しているため、中間広筋の緊張も膝蓋骨に牽引ストレスを与えるとされています。膝関節を曲げる際には、伸張されるだけでなく、外側後方に移動しながら伸張されるため、筋の可動性も重要となります。

まとめ

・有痛性分裂膝蓋骨は成長期にみられるスポーツ障害のひとつ

・発生頻度は低いが疼痛により運動を中止することもある

・保存療法で軽快することが多い

・外側広筋や中間広筋の牽引力が問題となる場合が多い

・膝関節アライメント(膝が内側に入る)の修正も大切

いかがでしたでしょうか?有痛性分裂膝蓋骨は頻度は低いものの、成長期のスポーツ障害として見られます。経験的にも、外側広筋や中間広筋の柔軟性改善と膝関節アライメントの修正は重要となります。膝関節アライメントの修正はストレッチやトレーニングが必要となります。この動きが変わらない限り、外側組織の柔軟性は得られてこないため、動作改善が重要になります。

<引用図書>

 ・改訂第2版 関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーション下肢

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